こんな疑問に答えます。
近年、日本でもLGBTQ当事者が子どもを持ち、「新しい家族のかたち」を築くといった話を耳にするようになりました。
日本でも多様な家族が増えていることは、本当に素晴らしいことだと思っています。
一方、アメリカではずっと以前から同性カップルが「家族」を築いており、今では同性カップルが子どもを持つことは特別なことではありません。
そして、アメリカではその需要の高さから多くの民間精子バンクが設立され、世界中から多くの人々が「精子」を求めてアメリカへ渡っています。
そこで、本記事ではこれから妊活を始める同性カップルさん向けに【アメリカの精子バンク】について徹底解説していきます。
これから精子バンクを利用して妊活を始めようと考えている方、アメリカでの不妊治療について知りたい方は是非参考にして下さいね。
25歳で初めて女性と交際。その女性こそが現在のパートナーである。
2018年に養子縁組。その後すぐに海外精子バンク(Cryos International)を利用して妊活をスタートする。
2019年に顕微授精でYuriが妊娠→2020年に女の子を出産。
2020年に人工受精でパートナーが妊娠→2021年に女の子を出産。
2021年に凍結胚移植でYuriが妊娠→2022年に女の子を出産。
現在は、パートナーと3姉妹の子育て中。
・アメリカでおすすめの精子バンクが分かる
・日本の同性カップルがアメリカの精子バンクを利用できるかが分かる
・アメリカ現地で不妊治療ができるのかを知れる
【精子バンク大国】アメリカでおすすめの精子バンク5選
多様性に寛容なアメリカでは、多くのLGBTQカップルが子どもを持ち「家族」を築いています。
その背景には、LGBTQ当事者でも「子どもを持ちやすい環境」が整っているからだと言われています。
例えば、日本では「国内精子バンクの利用不可(婚姻関係の夫婦のみ)」、「同性カップルの不妊治療を行わない」と決められているため、同性カップルが子どもを持つことは非常に厳しい環境だと言えます。
一方でアメリカでは、同性カップルが利用できる民間精子バンクが多く存在し、あわせて同性カップルが不妊治療できるクリニックが山ほど存在します。
これは大きな違いですよね。
この違いこそが、アメリカで多様な家族の形が認められている大きな要因なのではないでしょうか?
とはいえ、
という声もあるはずです。
そこで、ここでは【アメリカでおすすめの精子バンク】を比較付きで5つ紹介します。
これから妊活を考えているカップルさんは是非参考にして下さいね。
・Xytex Sperm Bank
・Cryos USA Egg & Sperm Bank
・California Cryobank
・Fairfax Cryobank
・Seattle Sperm Bank
Xytex Sperm Bank
「Xytex Sperm Bank」は、1975 年以来、LGBTQ当事者を含む人々が精子提供を通じて家族を作る夢を支援してきました。
同社が提供する無料のドナープロフィールには、最大3世代にわたる家族の病歴が含まれており、ドナーに関する詳細情報(髪の色と質感、目の色、健康状態、肌の色調、誕生年、身長、体重、職業、学歴、体格、利き手、視力)を知ることができます。
Xytex Sperm Bankの支店は米国内に5つあり、ジョージア州に4店舗(アトランタ、アテネ、オーガスタ、マリエッタ)、ノースカロライナ州に1店舗(シャーロット)あります。
平均コスト | 1バイアルあたり525 ~ 1,495 ドル |
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家族単位の制限 | あり(金額不明) |
保険適応 | 不明 |
長所 | ・全てのドナーの成人写真が見られる ・詳細な家族歴が記載されている ・設定価格の範囲が広い ・融資オプションが利用できる ・海外からでも利用可能 |
短所 | ・全てのドナーが非匿名(匿名を選択できない) ・ドナーのバックグラウンドで顧客とトラブルになった経験あり ・ウェブサイトで入手できる情報はほとんどない |
Cryos USA Egg & Sperm Bank
「Cryos USA Egg & Sperm Bank」は、デンマークに拠点を置くクリオスインターナショナルのアメリカ支社となります。
クリオスは「世界最大級の精子バンク」であり、世界 100 か国以上に精子ドナーを発送しています。
私自身もクリオスを利用したことがあり、クリオスの1番良いところは「日本語窓口」がある点です!
他の精子バンクでは主に英語での情報提供となりますが、何か不明点がある場合には日本語で問い合わせすることが可能です。
もちろん、サイトも日本語で見ることができるので英語が苦手な方でも安心ですよ。
平均コスト | 1バイアルあたり 695 ~ 1,700 ドル |
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家族単位の制限 | 国の割り当てに従う (米国では 25) |
保険適用 | なし |
長所 | ・高い顧客満足度 ・大規模なドナーデータベース ・国際的に利用可能 ・利用可能な融資オプション ・精子だけでなく卵子提供も行なっている |
短所 | ・保険適用なし ・配送に関する苦情がある |
California Cryobank
1977 年に設立された「California Cryobank」は、世界 30カ国以上と米国50 州にサービスを提供してきた実績があります。
また、ユニークなサービスがあるのも特徴で、ドナーに似て欲しい有名人やスポーツ選手を1人選んで検索できる「Look a like」という検索機能がついています。
ロサンゼルスに拠点を置く同社は、 ドナー数も豊富で世界最大級の精子バンクの1つだとも言われています。
平均コスト | 1バイアルあたり 1,045 ドルから 1,245 ドル |
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家族単位の制限 | 世界中で出生数 20 ~ 30 人 |
保険適応 | なし |
長所 | ・詳細なFAQ ・全てのドナーの幼少期の写真を提供している ・融資オプションが利用できる ・海外からでも利用できる ・兄弟登録が可能 ・ウェブサイトが使いやすい |
短所 | ・保険適応なし ・価格が競合他社よりも高い ・配送に関して苦情あり |
Fairfax Cryobank
「Fairfax Cryobank」は、精子提供のプロセスをより円滑に行うことを目的として、ジョセフ D. シュルマン医師によって 1986 年に設立されました。
バージニア州に本拠を置く同社は、精子の提供と保管に加えて、「遺伝子検査・解析」や「在宅授精」、「ホルモン療法」といったサービスも提供しています。
また、ドナー1人から生まれる子どもの制限を米国内で25人、国外で15人としていますが、制限に達した場合でも同じドナーの兄弟が家族に生まれることを認めています。
平均コスト | 1バイアルあたり 700 ~ 1,200 ドル |
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ファミリーユニットの制限 | 米国内で 25、海外では 15 |
保険適用 | なし |
長所 | ・家族単位の制限に達した場合でも、兄弟バイアルを利用可能 ・海外からでも利用可能 ・利用可能な融資オプション ・遺伝サービスと性別肯定ホルモン療法を提供 ・ドナーの幼少期の写真を無料で提供 |
短所 | ・保険適応なし ・ウェブサイトが少し見づらい ・悪い顧客レビューがある |
Seattle Sperm Bank
「Seattle Sperm Bank」は、2008 年に設立されたワシントンに本拠を置く会社です。
同社は、広範な遺伝子検査と病歴調査を行なっており、その分野では競合他社の中で際立って優れています。
他の競合他社では、ドナーが遺伝子検査に参加するかどうかを選択できることが多いのですが、シアトル精子バンクでは全てのドナーに「502 個の遺伝子で遺伝性疾患の保因者のスクリーニング」を義務付けています。
このスクリーニングは、病気の早期発見にも役立っています。
平均コスト | 1バイアルあたり 750 ~ 950 ドル |
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家族単位の制限 | 25 |
保険適応 | なし |
長所 | ・バイアルあたりのコストが低い ・利用可能な融資オプションがある ・使いやすい検索機能 ・ドナーの幼少期の写真を提供 ・ユーザーフレンドリーなウェブサイト |
短所 | ・保険適応なし ・5 つの州でのみ利用可能 ・競合他社よりも新しい |
いかがだったでしょうか?
アメリカを代表する5つの精子バンクの特徴を知れたかと思います。
実際、紹介したサイトを訪れてみた感想ですが、デンマークの精子バンクと比較するとさまざまな人種・民族のドナーさんが多いなぁという印象を受けました。
これは、アメリカ自体が多民族国家だからかと思いますが、私が利用したクリオス(デンマーク)ではドナーの半分くらいがデンマーク人でした。
なので、「日本人を探している」、「アジア系のドナーがいい」といった場合にはアメリカの精子バンクで探す方が希望のドナーが見つかる可能性が高いかも知れませんね。
実際、私の知り合いの同性カップルさんもそういった理由からアメリカの精子バンクでドナー探しをしていました。
日本の同性カップルはアメリカの精子バンクを利用できる?
結論から言うと、精子バンクによります。
会社によっては精子を配送する際にどうしてもクリニックに送らなければならない、もしくは医師の許可が必要といった場合があります。
そのような場合、日本で利用することは難しいでしょう。
とはいえ、なかには日本の自宅に配送可能な精子バンクも存在します。
もし、アメリカの精子バンクを利用するなら、直接利用したい会社に問い合わせてみることをおすすめします。
以下は、アメリカの精子バンクから日本への配送に関する情報をまとめたものです。(※法律の変更や会社規定の変更も考えられるので、必ず注文前に精子バンクに確認しましょう)
デンマークの法律が改正されたことにより、デンマークの精子バンクであるクリオス・インターナショナル (デンマーク)はドナー精子をご購入の際に、個人宅への配達をすることができなくなりました。
精子の受取りは、認定を受けた細胞組織センター、不妊治療クリニック、医療機関、そして有資格の医療従事者に限り認められています。
クリオスUSAからは、引き続き日本の個人宅へ配送を行うことができます。
Fairfax Cryobank で注文する個人顧客は、資格を持つ医師または医療専門家の許可が必要です。
もし、米国内で不妊治療を行う場合、同社に連絡すれば医療専門家のリストを紹介してくれます。
ドナー精子を注文したら自宅に直接送ったり、シアトルにある同社の研究室から受け取る、もしくはクリニックに送ることが可能です。(これが米国内だけなのか、海外でも配送可能かは記載がなかったため、必ず注文前に問い合わせてみることをおすすめします。
発送先を問わず、同社では認可を受けた医療提供者のケアを受けることを義務付けています。そのため、医療提供者 (認可を受けた医師) は、ドナー精子を自宅発送する前に「代替場所への発送承認」フォームに署名する必要があります。
アメリカ現地で不妊治療することはできる?
アメリカ現地で不妊治療することも可能です。
アメリカで治療を行う場合、以下の2つの方法が考えられます。
①自分自身でクリニックを探す
②仲介業者に依頼する
詳しくみていきましょう。
①自分自身で探す
文字通り、アメリカ現地で同性カップル向けに不妊治療を受けられる病院を自身で探す方法です。
この方法だと余分な仲介手数料がいらないので、費用が安く済みます。
試しに、Google検索で「lgbtq Fertility treatment usa」と検索するといくつかクリニックがヒットします。
「Pacific Fertility Center Los Angeles」
もしくは、Seattle Sperm Bankサイト内の「クリニック検索」で治療可能なクリニックを検索しましょう。
とはいえ、「航空券代」と「不妊治療代」のみの支払いだけで済む分、現地クリニックの情報収集や病院側とのやり取りは全て英語なので、言葉に不安がある場合には次に紹介する方法をおすすめします。
②仲介業者に依頼する
「自分自身で探すのも面倒」、そして何より「言葉が通じないのが不安…」という場合には仲介業者に依頼するのも方法の1つです。
この仲介業者を使うことで、自身でクリニックを探したり、連絡をとる手間を省くことができます。
仲介業者はアメリカの会社もありますし、日本の会社もあります。
難点は、仲介手数料を取られるため費用が高くなることと、自分で好きなクリニックを選べないことです。
仲介業者は大体どこかのクリニックと提携しているので、「絶対にここのクリニックがいい!」といった希望がある方は自身で探された方がいいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
アメリカでは、LGBTQ当事者が子どもを持つことはもはや特別なことではありません。
そういった環境だからこそ、精子バンクや不妊治療クリニックへのアクセスがしやすく、誰もが「親になる」といった選択肢を持ちやすいんですね。
これから「親になりたい」、「家族を作りたい」と考えている同性カップルさんはアメリカでのトライ、精子バンクの利用も選択肢の1つに加えてみませんか?
みなさんが抱く「家族をつくる」という夢が現実になることを願っています。