この記事では、「精子提供」を受けて妊活を始めようとしている”同性カップル”に向けて書いています。
私自身もLGBTQ当事者であり、パートナーと共に精子提供を受けて3人の子を持つことができました。
妊活を始めた2018年当時は、SNSやネット上で「同性カップルの妊活」に関しての情報がかなり少なく、正しい情報を探すのにとても苦労しました。
精子提供を受けるにしても、誰から依頼すべきか、お金はどうするか、トラブルに巻き込まれたらどうしよう…なんて考え始めるとなかなか前に進めません。
きっと過去の私のように悩んで迷って立ち止まってしまう人が多いのではと感じました。
そこで、本記事では迷える同性カップル向けに「精子提供」に関する網羅的な情報を書きました。恐らく、これから精子提供を受けるカップルさんはこの記事を一通り見れば疑問が解消されるはずです。
本記事が、不安を取り除いて行動できるきっかけになれば幸いです。
・これから妊活を始める同性カップル
・第三者から精子提供を受ける予定の方
・精子提供を受けて妊活することに興味がある方
上記に1つでも当てはまる方は是非本記事を参考にして下さい。
【1】気を付けるべき精子提供トラブル「その精子提供、本当に安全ですか?」
同性カップルが妊活を始める場合、まずはドナー(精子提供者)を探す必要があります。
ドナーを選ぶ方法はさまざまですが、具体的には
・家族や知人
・SNSやネットのボランティア
・精子バンク
のなかで条件に合う人を探すことになるかと思います。
誰に依頼するのかはカップルの考え方によって異なりますが、「SNSやネット」でドナーを探す場合には少し注意が必要です。
なぜなら、SNSやネット上にはさまざまな考え方・倫理観を持つ人がおり、「性行為を求めてくる」、「不特定多数に提供を行なっている」などのリスクが考えられるからです。
さらに、感染症などの検査を行なわずに提供を行なっている人もいるかもしれません。
このような理由から、SNSやネット上でドナーを探すときには
・感染症リスク
・遺伝病リスク
・犯罪に巻き込まれるリスク
・子育てに介入してくるリスク
・近親婚になるリスク
などを考えておかなければなりません。
もしもSNSやネットでドナーを探すと決めたら、できるだけリスクを減らすための対策をすることが大切です。
リスクを減らすために同性カップルができることを別記事「【精子提供トラブル】失敗しないために気を付けるべき5つのポイント」で詳しく解説しています。
こちらの記事では、過去に起きた“精子提供トラブルの事例”も紹介しているので参考になるかと思います。
ドナーから提供を受ける前に1度目を通しておくことをおすすめします。
【2】精子提供のやり方|カップルの数だけ選択肢がある
信頼できるドナーが決まったら、次は「どうのような方法で妊活を始めるか」を考えましょう。
同性カップルは自然妊娠することができないので、どうしても「シリンジ法」や「生殖補助医療」に頼らざる得ません。
具体的には、以下のような方法で妊活を進めていくことになるでしょう。
・シリンジ法
・人工授精
・体外受精
・顕微授精
ちなみに、私は「顕微授精」で、パートナーは「人工授精」でそれぞれ妊娠しています。
どのやり方がベストなのかは個人によるかと思いますが、妊活スケジュールや費用などの詳細を知りたい方も多いはずです。
そこで、「精子提供のやり方とは?同性カップルにとっておすすめの提供方法も解説」では同性カップルの妊活方法をより具体的に解説しています。
このような疑問を持っている方もきっと妊活の進め方がイメージできるはずです。
【2】「シリンジ法」での精子提供|使い方のコツと注意点
カップルによって妊活の始め方はさまざまですが、ファーストステップとして「シリンジ法」を選ぶ方が多いのではないでしょうか。
「シリンジ法」とは、排卵期に男性がマスターベーションで採取した精液を、シリンジと呼ばれる針のない注射器のような器具に入れ、女性の膣内に注入して精子と卵子を受精しやすくする方法です。
経済的で気軽にトライできる方法として人気ですが、一方で、
・シリンジの使い方が分からない
・本当に妊娠できるのか不安
・シリンジ法で気を付けることが知りたい
といった不安を抱く方も多いはずです。
そこで、「【シリンジ法の手順】精子提供で妊娠するためのコツと注意点とは?」では“シリンジ法の使い方”や“成功させるコツ・注意点”を徹底解説しています。
また、精子バンクからの提供でシリンジ法を試みるカップルのために「精子バンクを利用したシリンジ法のやり方」も併せて紹介しています。
「まずはシリンジ法からトライしよう!」と考えているカップルさんは、始めにこちらを読んでおきましょう。
【3】精子提供に必要なお金|妊活のリアルなお財布事情
ドナーも妊活方法もある程度決まったけど、一体どれくらいの「お金」がかかるのかな…。
そんな心配をしていませんか?
妊活は終わりの見えない取り組みであり、誰でもすぐに成功するとは限りません。
さらに、「体外受精」などの高度生殖補助医療を受けるには、まとまったお金が必要というイメージがありますよね。
必要な金額がわからないが故に、一歩踏み出せない人も多いのではないでしょうか。
そこで、周りではあまり教えてくれない精子提供にかかる費用を「精子提供にかかるお金はどれくらい?【精子バンク費用も大公開】」の記事で解説しています。
この記事では、実際に海外の精子バンクを利用して妊活(人工授精・顕微授精)を経験した私が全てデータ付きで情報を公開しています。
周りに相談しづらい内容だからこそ、誰にも聞けない情報を詳しく解説しているのでよければご覧下さいね。
【5】精子バンクでの妊活を考えている人へ
精子提供は必ずしも「知り合い・家族・ネット上のボランティア」からでなくてはならないと言う訳ではありません。
例えば、「精子バンク」を利用するというのも立派な選択肢の1つです。
日本でも精子バンクは存在しますが、残念ながら現時点で同性カップルは利用できません。なぜなら、利用条件に「不妊症(無精子症)に悩む婚姻夫婦」である必要があるからです。
一方、海外では「同性カップル」や「シングル女性」でも利用できる精子バンクが沢山あります。
例えば、以下はデンマークの大手精子バンク「Cryos International」です。
私自身もCryosに登録しているドナーから精子提供を受け、妊娠・出産しました。
日本人ドナーはいませんが、アジア系のドナーは沢山登録されています。
もちろん、デンマークだけでなく世界中に同性カップルが利用できる精子バンクは存在します。例えばですが、以下にアメリカで利用可能な会社をまとめてみました。
興味のある方は自分でググって見ることをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事は私自身が精子提供を受けて妊活を始める過程で集めた情報・経験です。
「同性カップルで子どもを持つ」という決断をされたみなさんは、本当に素晴らしいと思います。
まだまだ日本では同性カップルが子どもを育てるという認識があまり広がっていませんが、世界を見るともっと自由で楽しく多様な家族が存在します。
世界は広いですし、さまざまな考え方や価値観があります。
同性カップルが子どもを作ることも沢山ある人生の選択肢のうちの1つなのです。
どうぞ誇りに思い、妊娠までのプロセスを楽しんで下さいね。
みなさんの「家族を作りたい」という思いが現実のものとなりますように!