こんな疑問に答えます。
「シリンジ法」は自宅で気軽に行える妊活手段のため、妊活を始めたばかりの同性カップルにとってはポピュラーな方法の1つです。
しかし、やり方がシンプルなだけに「これで合っているのかな?」、「本当に妊娠できるのか不安」といった声もあるはずです。
実際、間違った方法で妊活を行なってしまうと、最悪の場合妊娠確率も下げてしまうことにも繋がります…。
そこでこの記事では、これからシリンジ法にトライする同性カップル向けに【シリンジ法の使い方の手順を5ステップで解説】していきます。
正しい情報を手に入れ、妊娠しやすいコツを試しつつトライしていきましょう!
そして、「子どものいる未来」の実現に向けてあなたの背中を押していきたいと思います。
25歳で初めて女性と交際。その女性こそが現在のパートナーである。
2018年に養子縁組。その後すぐに海外精子バンク(Cryos International)を利用して妊活をスタートする。
2019年に顕微授精でYuriが妊娠→2020年に女の子を出産。
2020年に人工受精でパートナーが妊娠→2021年に女の子を出産。
2021年に凍結胚移植でYuriが妊娠→2022年に女の子を出産。
現在は、パートナーと3姉妹の子育て中。
・シリンジ法とは?
・シリンジ法の手順【5ステップで解説】
・シリンジ法を成功させるためのコツ
・精子バンクを利用した「シリンジ法」のやり方
・シリンジキットはどこで買う?【おすすめシリンジキットも紹介】
シリンジ法とは?
「シリンジ法」とは、排卵期に男性がマスターベーションで採取した精液を、シリンジと呼ばれる針のない注射器のような器具に入れ、女性の膣内に注入して精子と卵子を受精しやすくする方法です。
同性カップルが妊活を始める際には、このシリンジ法からトライする方も比較的多いのではないでしょうか。
「シリンジ」と呼ばれる専用キットの挿入部分はシリコンでできており、体の負担が少ないのが特徴です。
また、使用方法もシンプルなので手軽に時間や場所を選ばずに取り組むことができる点がメリットだと言えます。
一方で、
と、疑問に思っている方がいるのも事実です。
そこで、次の章では多くの同性カップルが知りたい【シリンジ法の妊娠率】についても触れていきたいと思います。
シリンジ法の妊娠率【妊娠力をアップさせるためのコツとは?】
シリンジ法での妊活で同性カップルが一番知りたいのは、「本当に妊娠するの?」という部分かと思います。
結論から言うと、シリンジ法はタイミング法(性行為)と同程度の妊娠率とされています。
インドの不妊治療医ら(Kaberi Banerjee and Bhavana Singla)が発表した論文によると、年齢に関係なくシリンジ法は十分に妊娠する可能性があり、シンプルで使いやすく効果的な方法とされています。
とはいえ、通常の性行為における妊娠率と同様で、20代から30代、40代と年齢が上がるにつれて妊娠率は低下していくようです。
具体的な研究結果として、排卵予定日の前後でシリンジ法キットを用いてタイミングをとり、排卵日6周期目までに妊娠した確率として、20~33歳で68.9%(29組)、33歳~36歳で42.8%(14組)、36歳以上で25.0%(12組)という妊娠率となっています。
また、日本産婦人科医会によるとシリンジ法キットを使わないタイミング法においても、原因不明の不妊症患者が6周期続けた場合50%の確率で妊娠をし、24周期続けた場合60%の確率で妊娠するとされています。
出典:9.タイミング – 日本産婦人科医会 (jaog.or.jp)
上記の研究でも明らかな通り、「シリンジ法でも十分に妊娠に至ることが可能」です。
なので、6周期位まではシリンジ法での妊活を試み、それでも上手くいかないようであればステップアップすると有効かもしれません。
シリンジ法以外の妊活方法を知りたい方は、「同性カップルの妊活方法4選!【それぞれのメリット・デメリット】」をご覧ください。
シリンジ法の使い方【5ステップで解説】
シリンジ法の手順が分からないで悩んでいるカップルさん向けに、ここでは【シリンジ法の手順(簡単5ステップ)】を解説していきますね。
STEP①:使用前にシャワーを浴び、体・手を清潔にする
STEP②:マスターベーションにより、精液を採取する
STEP③:精液を液状化(サラサラな状態に)させるため5~10分程度置く
STEP④:精液をシリンジ容器で吸い上げる
STEP⑤:シリンジ容器を膣内に挿入し、精液を注入する
STEP①:使用前にシャワーを浴び、体・手を清潔にする
まずは、ドナーの男性も、提供を受ける女性もしっかりと体と手を清潔にしておきましょう。
駅や公園などの公衆トイレは衛生的にもあまり良い環境とは言えないため、シリンジ法を試すなら自宅やビジネスホテルがおすすめです。
STEP②:マスターベーションにより、精液を採取する
続いて、ドナーさんにマスターベーションを行なってもらい、精液を所定の容器に採取してもらいます。
容器は必ず使い捨てのもので減菌加工のしてあるものにしてください。
精液はそのままシリンジを使って女性の膣に入れるものなので、菌が入ってしまうリスクをできるだけ減らしましょう。
ちなみにですが、このときにきちんと防水加工がされてある容器だと、精液をシリンジで吸い上げやすくなりますよ。
また、精子提供時での注意点ですが個室で2人きりになることを避けましょう。
なぜなら、急に性行為を持ちかけてきたり、最悪の場合「性犯罪」に巻き込まれてしまうリスクがあるからです。
可能ならパートナーに同席してもらうなど、トラブルのリスクを下げる対応を行いつつ妊活を進めましょう。
以下の記事「【精子提供トラブル】失敗しないために気を付けるべき5つのポイント」で精子提供に関する注意点など詳しく載せているので確認してみてくださいね。
STEP③:精液を液状化(サラサラな状態に)させるため5~10分程度置く
射精されたばかりの精液は、特殊な粘りけを持っており、そのままの状態ではシリンジで吸い上げるのが困難です。
そのため、精液を液状化させるために5〜10分程置いておくと良いでしょう。
「空気に晒すと精子が死んでしまうのでは?」と、心配になる人もいるかもしれませんが、短い時間(数分程度)なら問題ありません。
長時間放置して乾燥してしまうと精子は生きていられなくなってしまいます。
STEP④:精液をシリンジ容器で吸い上げる
精液が無事に液状化したらシリンジで吸い上げましょう。
やり方はとてもシンプル。
注射器のように液を吸い上げるだけです!
STEP⑤:シリンジ容器を膣内に挿入し、精液を注入する
最後は、シリンジで吸い上げた精液をそのまま膣内に注入させるだけです。
自身で行うこともできますが、初めての場合は少し怖いですよね。
どんな角度で注入すればいいか迷ったりもします。
そんなときこそパートナーの力を借りましょう!
きっとリラックスして取り組むことができるはずですよ。
シリンジ法を成功させるためのコツ
シリンジ法の使い方はとてもシンプルで簡単だということがお分かり頂けたかと思います。
しかし、それでも「本当に妊娠できるのか」不安が拭えない人もいるでしょう。
そこで、「シリンジ法」でどうしても成果を出したいカップルさん向けに【シリンジ法を成功させるためのコツ】も解説していきたいと思います。
コツ①:仰向けで少しお尻を浮かせる体勢をとる
コツ②:注入前に「自己マッサージ」
コツ③:注入後には10分程横になっておく
コツ①:仰向けで少しお尻を浮かせる体勢をとる
まず、1つ目のコツは「仰向けで少しお尻を浮かせる体勢をとる」ことです。
もちろん、横向きなどの楽な姿勢でもOK。注入した精液がこぼれないようにお尻の下にクッションを挟んで浮かせておくことで、精液の漏れを防ぐことができますよ。
コツ②:注入前に「自己マッサージ」
これはある意味で「裏技」みたいなものですが、STEP③で「精液が液状化するまで5〜10分待つ」あいだに自分でマッサージをしておくといいかもしれません。
これは、子宮の血流を良くすることで「粘液」も分泌しやすくなり、注入した精子が卵子に辿り着く手助けになると考えられているからです。
もちろんパートナーが協力してくれるのなら、パートナーに刺激を与えてもらうのもいいでしょう。
こちらの動画でも分かりやすく説明してくれていますが、少しでも刺激を与えてから挿入した方が、成功率を上げるコツなのかもしれませんね。
コツ②:注入後には10分程横になっておく
注入後は10分程度横になり安静を保ちましょう。
精液の漏れを防ぐこともできますし、何より注入後はリラックスすることが大切です。
心も体もゆったりとしておくことで、より妊娠しやすい環境を作ることができるでしょう。
シリンジ法の注意点
比較的簡単に妊活できる方法として人気のシリンジ法ですが、「注意点」もあります。ここでは、【シリンジ法で注意するべき項目】を紹介するので、始める前に必ず確認しておいてくださいね。
・検査を受けて男女ともに異常がないか調べる
・排卵予測をできるだけ正確に行う
・カテーテルの先端は触らない
一つずつ見ていきましょう。
検査を受けて男女ともに異常がないか調べる
まずは病院で検査を受けて、男女ともに異常がないことを確認してください。
ドナー側に感染症などがあればうつってしまうリスクがありますし、そもそも無精子症の場合はシリンジ法で妊娠できません。
また、自身の身体の状態をブライダルチェックで調べておくのも重要です。
貴重な時間を無駄にしないためにも、男女ともに検査を受けましょう。
排卵予測をできるだけ正確に行う
シリンジ法は排卵日に行わないと意味がありません。
基礎体温や頚管粘液の状態、排卵チェッカーなどから自分でも排卵日を予測できます。
とはいえ、生理不順の方はなかなか予測しづらいため産婦人科に受診して診てもらうことをおすすめします。
カテーテルの先端は触らない
そしてシリンジやカテーテルをさわる前には、手をしっかりと洗うことも忘れずに行いましょう。
手にはバイキンが多いので感染症予防のために、シリンジやカテーテルの先端は直接さわらないようにしてください。
使う直前まで袋に入れておくと安心ですね。
精子バンクを利用したシリンジ法の手順
ここまで、ドナーから直接精子提供してもらう場合でのシリンジ法の手順を解説していきました。
一方で、これからは海外精子バンクで妊活する人も増えてくるでしょう。
あまり知られていないかもしれませんが、海外精子バンクを利用する場合にも「シリンジ法」での妊活が可能です。
とはいえ、凍結された精子が海外から送られてくるわけなので、自分で解凍してからシリンジで注入しなければなりません。
その手順が分からなくて悩んでいる方に、わかりやすく解説したいと思います。
STEP①:精子ドナーを選ぶ
STEP②:配送方法を選択する
STEP③:精子注入に必要なもの一式を受け取る
STEP④:ストローを解凍する
STEP⑤:シリンジを膣に挿入する
STEP①:精子ドナーを選ぶ
最初のステップは「ドナーを選ぶ」ところからスタートです。
試しに以下のサイトを見て欲しいのですが、精子バンクでは「国籍」も「人種」もさまざまなバックグラウンドを持つドナーの中から選ぶことが可能です。
デンマークの精子バンク「Cryos Internationa」では、160人以上のドナーリストから理想のドナーを選ぶことができます。
ドナー選びに困ったら「ステップ・バイ・ステップのドナー検索ガイド」で手助けしてくれるようです。
とはいえ、ドナー選びではパートナーとよく話し合って「何を1番重視するのか」を決めておかないと、永遠に理想のドナーを探し続けることになります…。
また、自宅で精子注入する場合には、「MOT10のICI用」または「IUI用の精子ストロー」を2本購入することをおすすめしています。
精子の種類については、サイト内のブログにて詳しく解説されているのでそちらをご覧ください。
STEP②:配送方法を選択する
凍結精子の配送方法には以下の2種類があります。
√通常の窒素タンクでの配送(耐用日数は発送日から7日間)
√大型窒素タンクでの配送(耐用日数は発送日から12日間)
日本向けの場合は、すべて大型窒素タンクでの配送となります。
ここで注意すべきなのが、「きちんと排卵日を予測しておく」ことです。
発送日を指定する際に「排卵日」をできるだけ正確に予測することが、妊娠率を高める最も重要なポイントです。
排卵日を予測するツールには、「排卵予測アプリ」や「排卵検査薬」、「基礎体温(BBT)」などがありますが、自分のやりやすい方法で行いましょう。
この排卵日予測でミスって発送してしまったら、妊娠の可能性はゼロになってしまいます…。なぜなら、女性は排卵日後は妊娠率が0%になってしまうからです!
STEP③:精子注入に必要なもの一式を受け取る
精子を注文すると追跡番号が発行され、注文精子の配送状況を確認することができます。
配送日には、18歳以上の方が直接受け取らなければなりません。(宅配ボックスはNG)
注文したドナー精子が届いたら必ず「中身の破損がないこと」、「欠品がないこと」を確認しましょう。
1 ) 精子を凍結保存するための窒素タンク
2 ) 精子ストロー(ご注文本数分)
3 ) シリンジ(針なし)
4 ) ストローに装着するアダプター
5 ) 個包装されたアルコールパッド
6 ) 梱包リストのコピー1部と説明書
STEP④:ストローを解凍する
全て一式必要なものが揃ったら、いよいよ注入に向けてストローを解凍しましょう。
まずは、窒素タンクから精子ストローを取り出し、室温に約15~20分置いて融解します。
注意点として、絶対に温水で融解してはいけません!必ず自然解凍をしましょう。
【融解後の手順】は以下の通りです。
1 ) アダプターの太い方の端をシリンジにはめ込む
2 ) アルコールパッドでストローを拭く
3 ) ストローのID番号・ドナー名側と反対側の封をされた端をハサミで切り取る(最大0.5 cm)
4 ) ストローの切り口をアダプターの細い方の端に入れる
5 )シリンジを立てたまま、ストローの中身をゆっくりとシリンジに吸引する。
動画でも「精子ストローの取り扱い方法」を確認することができますよ。
STEP⑤:シリンジを膣に挿入する
最後に、シリンジを使用して精子を膣に注入しましょう。
楽な姿勢で横になり、枕を使って腰を高くします。シリンジを慎重に手に取り、膣のできるだけ奥まで挿入します。それから精子を膣内に注入します。
その後約10〜30分間、その場で安静にします。
なかなかイメージが湧かない方も多いかと思うので、「自宅での精子注入の手順」の分かりやすい動画を貼っておきますね。
シリンジ法キットはどこで買う?【おすすめシリンジキットも紹介】
同性カップルの妊活で大活躍のシリンジですが、どこで買うことができるのでしょうか。
残念ながら、現状では薬局やドラッグストアでの取り扱いはないようです。
そのため、Amazonや楽天などのネットショッピングサイトや各社HPから購入可能することになります。
しかし、シリンジ法キットの種類が多すぎてどれを買ったらいいか迷いますよね。
以下に、【初めてでも使いやすいおすすめのシリンジキット】を紹介するので参考にしてみて下さいね。
「プレメントシリンジ」は人工授精に必要なものが全て入っていて、使い方もとっても簡単です。
組み立ては「カテーテル」と「シリンジ」を組み合わせるだけ。(所要時間1分)
また、1回あたり「499円」とワンコイン以下でトライすることが可能なので経済的です。
人工受精が1回3万円程なので、20回分(約4ヶ月)で「9,980円」のプレメントシリンジは気軽に試しやすいかと。
妊活初心者さんがどのシリンジにするか迷ったら、まずはこちらを試してみるのをおすすめします。
おすすめ度 | |
---|---|
長さ | 13cm |
価格 | (10回分)¥5,500(税込) |
特徴 | ・1回分の価格が他のキットと比べて安い。 ・挿入部分が細く、柔らかい。 ・本体とチューブが別になっている。 ・1つ1つが個装になっており、衛生的。 ・精液採取シートが改良され使いやすく改良された。 |
初心者さんでもタンポンの容量で自己挿入できるので、使い方に迷う心配もないでしょう。
こちらは「10回分5,980円」と「20回分10,980」から選ぶことが可能です。自分たちの妊活スタイルに合わせて購入できるのもおすすめですよ。
おすすめ度 | |
---|---|
長さ | 11cm(接続時) |
価格 | (3回分)¥2,970 (税込) |
特徴 | ・タンポンのように使用(挿入)できる。 ・接続部のない一体型容器のため、精液を残さず出し切ることができる。 |
もちろん、1つ1つが個装されているので衛生的にも安心。こちらのシリンジキットは3回分「3,300円」で購入することができます。
1つ難点としては、精子を採取するための容器が若干小さいことです。ドナーさん(男性側)には少し頑張ってもらわないといけませんね。
とはいえ、こちらもシリンジ初心者さんには使いやすくておすすめですよ。
おすすめ度 | |
---|---|
長さ | 16cm |
価格 | (3回分)¥3,300(税込) |
特徴 | ・本体とチューブの部分が一体になっているので、そのまま使用できる。 ・個装になっており、安心感がある |
まとめ
いかがだったでしょうか?
シリンジ法でこれから妊活をスタートする同性カップルさんは「期待」と「不安」でいっぱいかと思います。
同性カップルの存在は今でこそメディアに取り上げられ、国内でも認知されるようになってきましたが、「同性カップルの妊活」はまだまだ知られていないことだらけです。
だからこそ、正しい情報にアクセスできずにトラブルに巻き込まれたり、誰にも相談できずに行動を起こせない人も多いのではないでしょうか。
そんな人を一人でも導いていけるよう、このブログを書きました。
そして、将来自分の子どもたちが同じ道を辿るにしても「ママたちが歩んだ軌跡」を残しておきたいと思ったからです。
「同性カップルで妊活しているなんて周りに知られたらなんと言われるだろう…」、「やっぱり”普通”じゃないよね」、「子どもがいじめられる」なんて声は一旦聞かないでおきましょう。
大切なのは、「あなたがどうしたいか」です。
他の人の意見を聞いてはいけません。
もし「子どもが欲しい?」という問いにYesなら、今日から行動を起こしてみてください。その勇気こそが、子どものいる未来に一歩近づく鍵なのです。