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精子提供にかかるお金はどれくらい?【精子バンク費用も大公開】

同性カップル
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これから妊活を始めようと考えているけど、精子提供にかかるお金ってどれくらいかな?SNSやネットでは「無償」で提供してくれるドナーがいるみたいだけど、実際どうなの?精子バンクを利用する場合の費用なんかも知りたいな〜

この記事では、こんな疑問に答えます。

妊活を始めたいけど、一体どれくらいの「お金」がかかるのか気になっていませんか?

本記事では、これから妊活をスタートする同性カップルさん向けに【精子提供にかかるお金】を徹底解説しています。

同じ「精子提供」でも、SNSやネットで知り合ったドナーから提供してもらうのと、精子バンクを介して提供してもらうのではかかる費用も大きく異なります。

大切なお金だからこそ、妊活を始める前に正しい情報を知ることで不安も少なくなるはずです。

「子どものいる未来」を実現するために、本記事がお役に立てることができれば幸いです。

それでは、どうぞご覧ください。

この記事を書いた私(Yuri)について

25歳で初めて女性と交際。その女性こそが現在のパートナーである。
2018年に養子縁組。その後すぐに海外精子バンク(Cryos International)を利用して妊活をスタートする。
2019年に顕微授精でYuriが妊娠→2020年に女の子を出産。
2020年に人工受精でパートナーが妊娠→2021年に女の子を出産。
2021年に凍結胚移植でYuriが妊娠→2022年に女の子を出産。
現在は、パートナーと3姉妹の子育て中。

この記事を読むと分かること

・精子提供を受けるのにかかるお金はどれくらい?
・SNSやネットでの精子提供は本当に「無償」なのか
・精子バンクを利用する場合のリアルな費用【経験談あり】

精子提供を受けるのにかかるお金はどれくらい?

精子提供を受けるのにかかるお金はどれくらい?

結論から言うと、精子提供にかかる費用は「提供してもらう人(会社)」によって大きく異なります。

なぜなら、日本では未婚女性(同姓カップルなど)に対する精子提供の法整備が進んでいないため、個人間のやり取りに頼るしかないからです。

そのため、「SNSやネット」から探すか、法整備の進んでいるアメリカなどの「精子バンク」から精子提供してもらうなどしなくてはなりません。

実際、子どもを望む多くの同性カップルが以下のような方法で精子提供を受けています。

・SNSやネット経由
・友人/知人
・海外精子バンク
・家族(親族)

上記の方法の中でどれを選択するかによってかかる費用は変わってくるため、一概に金額を言うことはできません。

とはいえ、

「友人/知人」もしくは「家族(親族)」から提供してもらう場合は、基本的にお金はかからないと考えていいでしょう。

なぜなら、彼らはボランティア精神で行っている部分もあり、親しい友人や家族がお金欲しさに提供することは稀だからです。

一方、「SNS/ネット」、「精子バンク」を利用して精子提供してもらう場合には程度の差こそあるものの、お金がかかると思っておいた方がいいでしょう。

SNSやネットでの精子提供は本当に「無償」なのか

SNSやネットでの精子提供は本当に「無償」なのか
SNSやネットでは、「無償提供」を謳うドナーアカウントを沢山見かけるけど、本当にお金がかからないのかな?

近年、SNSやネットでの精子提供ボランティアが急激に増えています。

私自身もTwitterを運営しているのですが、実際にいくつものアカウントを見つけることができますし、なんならフォローされたりも…。(苦笑)

アカウントの中には、一定の金額を提示しているドナーもいれば、無償提供するドナーもいます。

そのため、選ぶドナーによってかかる費用もさまざまだと言えます。

ネット 精子提供

しかし、いくら「無償」と記載があっても、実際にはドナーの交通費などは支払う場合が多いでしょう。特に「いいな」と思ったドナーが遠方に住んでいた場合には、複数回の提供でかなりの費用になる可能性もあります。

さらに、精子提供をするドナーにはさまざまな思想や倫理観を持つ人がおり、「無償」でいいから自分の遺伝子を残したいとして複数人に提供している場合があります。

そうなると、1人のドナーから50人、100人…と子どもが生まれてしまい、将来子どもたちが知らず知らずのうちに「近親婚」する可能性も高くなります。

日本ではまだまだ法整備が進んでいないため、そういった状況でも対策がほとんどありません。また、精子売買も法律で禁止されている訳ではないため(グレーゾーン)、ドナーの言い値で精子提供が行われているのが現状です。

同性カップルが安全に精子提供を受けるには、「精子バンクを利用する」という選択肢も考えておくといいかもしれませんね。

精子バンクを利用する場合のリアルな費用【経験談あり】

精子バンクを利用する場合に必要なお金【経験談あり】

ここでは、実際に海外精子バンクを利用して3人の子どもを持つ私が【精子バンクのリアルな費用】を解説します。

ちなみにですが、私が利用した精子バンクはデンマークに本社がある「Cryos International(クリオス)」という老舗の会社です。

世界には星の数ほど精子バンクが存在しますが、精子提供にかかる費用はその国の物価などに左右されるため、国ごとに費用も変わります。

私がデンマークの精子バンクを選んだのも、アメリカの会社より費用を抑えられるからでした。

とはいえ、

精子バンクってなんだか高いイメージがあるなぁ…。
精子バンクの相場がわからないから教えて欲しい。

といった声も多いかと思います。

そこで、ここでは実際に「Cryos International」を利用した私が、経験をもとに“リアルな費用”を徹底解説していきますね。

特徴①:ドナーの情報を知れば知るほど高くなる

まず、精子バンクの特徴として「ドナーの情報を知れば知るほど費用も高くなる」ことが挙げられます。

これは、

・「身元開示(非匿名)」か「身元非開示(匿名)」
・「基本プロフィール」もしくは「詳細プロフィール」

それぞれどちらを選んだかによって値段が異なります。

「身元開示ドナー(非匿名)」のドナー精子の価格は、「身元非開示(匿名)」ドナーよりも高くなっています。加えて、「詳細プロフィール」を知りたい場合には追加料金を払うといったシステムです。

・身元非開示ドナー:200ユーロ(約29,800円)
・身元開示ドナー:350ユーロ(約52,300円)

これはカップルの考え方によると思うのですが、子どもにドナーの存在を伝えていきたいと考えている場合だと「身元開示ドナー(非匿名)」を選ぶ方が適しています。

さらに、詳細プロフィールを選ぶことで、子どもにより詳しくドナーのパーソナリティを伝えられるでしょう。

また、精子バンクでは基本プロフィールに「顔写真」が付いているのですが、それは幼少期のみだったりします。

カップルでドナー選びをしているとどうしても、「大人になったときの顔」も気になるものです。

そこで、料金を上乗せすれば「大人の顔写真」も見られるというようなシステムもありますよ。

Cryos Profile

特徴②:精子の運動率によって値段が変わる

続いて、精子バンクでは精子の運動率によっても価格が変わります。

精子の運動率が高いものは「人工授精」に使用したり、逆に運動率がそこまで高くないものは「体外受精」や「顕微授精」に使用したり用途が分かれています。

私自身「顕微授精」を経て妊娠しており、パートナーは「人工受精」をしたのでわかるのですが、体外受精や顕微授精は精子の運動率はそこまで重要ではありません。(実際、培養士さんが良い精子を捕まえて直接卵子に注入してくれるため)

一方で、人工授精は自然に近い妊娠方法のため、精子の運動率が高ければ高いほど受精する確率も上がります。

なので、最初から「体外受精」もしくは「顕微授精」するつもりなら、費用が抑えられるMOT5のアンプルを購入して、抑えた費用分を不妊治療にまわすのが賢い方法かと思います。

肝心なお値段ですが、クリオスの場合は以下が相場となります。

・人工授精用の精子の価格(MOT10のIUI用ストロー1本)は一回の治療当たり、215ユーロ(約31,900円)から。
・体外受精用の精子の価格(MOT5のIUI用ストロー1本)は一回の治療当たり、110ユーロ(約16,400円)から。
・顕微授精用の精子の価格(MOT5のIUIストロー1本)は一回の治療当たり、110ユーロから。

特徴③:妊娠可能枠を買う

これは2021年から導入されたシステムらしいのですが、精子を買う際に「妊娠可能枠」も同時に購入しなくてはならなくなりました。

理由としては、日本産科婦人科学会のガイドラインは、同一提供者からの出生児数を10名以内に制限しているからです。

そのため、日本国内では1人のドナーに対して「10家族まで」という制限をかけて、妊娠枠を購入しなければなりません。

当然、兄弟などを望む場合のためにドナー精子の取り置きに妊娠枠の購入が必要です。

これは、「近親婚」を避けるためにとても重要なシステムなのです。

妊娠可能枠の代金は、以下の通りです。

・身元開示ドナー:350ユーロ(約52,300円)
・身元非開示ドナー:200ユーロ(約29,886円)

特徴④:ドナー独占権も買える

先程の「妊娠可能枠」に加え、ドナー精子を自分たちで独占したい(他の人には売らない)場合には「ドナー独占権」を購入することが可能です。

これは完全にオプションなのですが、誰しもが自分たちの子どもに「オリジナル」を求めています。そのため、自分たちのドナーの精子を他の人に提供しないで欲しいと願う場合にはこのオプションを購入することも可能です。

独占権の価格は、「4500ユーロ(約67万2000円)」となっていますがいくつかの条件と追加されるサービスがあります。

(条件)在庫となっている当該ドナーの精子は全て購入する。
(追加されるサービス)
・クリオスでの10年間の精子ストロー保管
・3回の無料配送
・当該ドナーの妊娠可能枠

特徴⑤:配送料

最後に、精子を日本まで送ってもらう「配送料」が必要となります。

近年、燃油サーチャージの高騰もあり、価格も上昇していますが「デンマークからの配送」の目安は以下のとおりです。

・大型窒素タンク 573ユーロ(約85,000円)
・お急ぎ便  113ユーロ(約16,700円)

精子バンク費用の計算方法

ここでは、これまで紹介した精子バンクにかかる費用を実際に計算する方法を解説します。実例を挙げていますので、どちらも参考にしてくださいね。

精子バンク費用計算式

・(ドナー情報①「匿名」か「非匿名」)+(ドナー情報②「基本プロフィール」か「詳細プロフィール」)+(精子運動率(IUI用かICI用))+(妊娠可能枠)+(※ドナー独占権)+(送料)※オプション

実例:Yuriの場合(「身元開示」、「基本プロフィール」、「IUI用」、「ICI用」ドナー精子をそれぞれ4本ずつ購入した場合)

 

IUIとICIのドナー精子(8本)4,600ユーロ(約72万5,000円)
基本プロフィール0ユーロ
身元開示350ユーロ(約52,100円)
妊娠可能枠350ユーロ(約52,100円)
送料(大型窒素タンク)573ユーロ(約85,400円)
合計5,873ユーロ(92万5,600円

 

私たちが購入した際には、まだまだ円高だったので実際には90万円までは行かなかったと思います。

とはいえ、お値段高すぎます…よね?(汗)

100万円近い金額で震えますが、私もパートナーも1回のトライで妊娠に至ることができたので、結果的にクリオスさんで購入したのは正解だったと思います。

まとめ

まとめ

いかがだったでしょうか?

同性カップルにとってドナーを探す際にネックになる「お金」の問題。

これからの出産・育児にかかる費用を考えると、できるだけ節約したいという気持ちになりますよね。

しかし、ドナー探しでケチってトラブルに巻き込まれることになったら本末転倒です。

きちんとドナーの信頼性を見極めつつ、不安があるようなら「精子バンク」で安全に提供してもらうという選択肢を考えるのも1つです。

パートナー同士で話し合って「SNSやネット」でドナーを探すことに決めた場合には、できるだけリスクを下げることが大切です。

別記事で「【精子提供トラブル】失敗しないために気を付けるべき5つのポイント」を徹底解説しているので、よろしければ参考にしてみてくださいね。

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